電話がなる……
おはようございます。
昨日は日曜日にもかかわらず仕事でした。
滅多にないのですが、あるとやっぱりしんどいですね。
この日は業務ごとに仕事があり、私の業務が一番最後でした。
電話で呼ぶとのこで待っていてくださいと連絡がありました。
夜も更けて20時も過ぎた辺り。
ちらほらいた休日出勤している物好きもすでに帰宅していて、職場から人の気配がなくなりました。明かりは自分の上だけしかついておらず、遠くは暗闇。たまについている常時起動状態のPCの明かりだけがそこを怪しく照らしていました。
昼間はあれだけ騒がしかった場所も人がおらず、PCも起動していなければ静寂そのもの。
そろそろかなと思った丁度その時、電話の小さなコール音が聞こえてきました。
どうやらここではない遠くの方で電話がなっているようでした。
間違ってかけてきたな。と、面倒くさそうに立ってそちらまで歩いていきます。自分の机から離れると一気に暗闇に近づき、電話の音がよりはっきり聞こえてきます。
電話は島ごとに複数台あり、当たり前ですが、そこの島に掛けると何台もの電話が同時になります。
暗闇の中、一斉に電話の赤いランプが光り、コール音が重なり合ってまるで反響しているかのようにうわんうわんと響いています。
何か、いつもと違う雰囲気にぞくりと悪寒が走って、向かう足が途中で止まりました。
これ以上進むのが怖い。
いい年したおっさんの足が止まりました。けれど、そんな理由で業務の電話を取らない訳にはいかない。
必死で考えた結果、相手が間違った場所に電話を掛けてきたから気づいたが取れなかった。確認のために、自分から確認しに行くことにしよう。そうすることで、この場所から離れられる理由もつけられる。
鳴り止むまでただただその場で立ち尽くし、電話のコールが終わった瞬間、慌てて用意して、作業が行われる場所に向かいました。
作業場所に入る前に一呼吸。そして、面倒くさそうな顔を作って、入っていきました。
部屋に入るなり開口一番、「掛ける場所間違ってません? 一応、確認のために来たんですけど?」。
中の担当は丁度受話器を耳に当て、私の出現に、驚いていました。
「あれ? あってると思ったんですが」
その言葉に安堵しました。やっぱり、あの電話は彼のようだった。抜けているが今回だけは許そう。
「しっかりして下さいよ。
全然違うところに掛けてたから取れなかったじゃないですか。確認のためにわざわざ来たんですから」
もちろん嘘であるが、怖かったから取れなかったと正直言えるはずなかった。
「えっ? それ、私じゃないですよ?
だって、今掛けましたから。鳴ってから来れるような時間はなかったですよ?」
「えっ?」
結局、その電話は何か分かりませんでした。
取ったほうが良かったのか、取らなくても良かったのか。
仕事で緊急の場合はその連絡用ルートがあるし、まさか、こんな時間に営業の電話があるはずもないだろう。
結局、なんの電話だったか。
あの寒気は正解だったのでしょうか?